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2013年8月29日木曜日

ITが変わる、医師が変わる【進化するデジタルドクター

ITが変わる、医師が変わる【進化するデジタルドクター】 患者は「友達」、ネットで診察◆Vol.4 全国の患者の反応が医師を鍛える 2013年7月26日 島田 昇(m3.com編集部) ________________________________________  ネットを通じて患者とつながることで、診察スタイルを一変させた医師がいる。ソレイユ千種クリニック(名古屋市千種区)院長の木村那智氏(クリニックのホームページはこちら)だ。全国の1型糖尿病の患者と実名SNS「facebook」で「友達」としてつながり、特に主治医として担当する患者については、facebookで日ごろの暮らしぶりを把握して診察に当たる。facebookでは、軽いあいさつから真剣なアドバイスまで、情報公開の設定範囲によっては世界中のユーザーが閲覧しコメントできるため、常に「評価」と「監視」にさらされている。その緊張感が、療養指導における引き出しの数を増やし、最新の医学情報を発信し続けるモチベーションとなっている。  木村氏は、1型糖尿病の診療においてfacebookを活用する意義を、次のように説明する。「1型糖尿病の治療は、日常生活の中の小さなテクニックの積み重ね。月1回の5分から10分の診察の間に、変化に富む毎日の生活を把握し、疑問に答え、トラブルへの対処を詳細に指導することは不可能。しかし、facebookを活用すれば、患者の毎日をリアルタイム把握できる。診察時には既に患者の最近の暮らしぶりが分かっているので、対面での診察時間はむしろ短くなり、内容はあいさつがてらの世間話、検査結果の説明、ネットを通じた指導事項の確認、薬の処方程度で済む」。 ソレイユ千種クリニック院長の木村那智氏。  7月現在、木村氏のfacebookユーザー友達の中には、担当の1型糖尿病患者が50人以上、その他全国の1型糖尿病患者が800人以上含まれ、その数は増え続けている。facebookを通じ、インスリンポンプのトラブルや高血糖、低血糖など急を要するSOSは日に2、3件程度あり、多くは対処方法の指導で解決するが、受診を促すこともある。学校行事や旅行などの際の治療の調整についても、facebook上で連絡する。こうした患者とのやり取りはオープンにされているので、医学的に妥当か否かはもちろん、患者の不安や機微に配慮したアドバイスをしているか否か、「全国の患者や医療関係者からすぐに“審判”が下される。この緊張感が、血糖コントロールのテクニックとコミュニケーション能力を鍛えてくれる」(木村氏)。  これまで、facebook上の木村氏のコメントに対して「患者迎合的」「耳触りはよいが非現実的」「採算度外視でただの趣味」など否定的なコメントも受けてきた。しかし、木村氏は、「患者のために間違っていないと思えば議論を戦わせるし、こちらが誤っていたと悟れば素直にわびる。その過程も、陪審員でもある全国のユーザーが見守り、正当な評価をしてくれる」とした上で、「患者の日常を知り、それについて深く議論することは、本でも病院でも学べない診療スキルである」と述べ、患者とのやり取りをオープンにする緊張感の一方で、facebook活用が自身の医師としての成長にも影響していると考えている。 知識は専門職に閉じ込めずオープンに  木村氏が、facebookを活用した診察にたどり着いたのは、2000年に日本糖尿病協会主催の1型糖尿病患者イベント「ヤングトップセミナー」を当時の勤務先の病院が主管したことが遠因だ。セミナーでは、1型糖尿病の勉強や座談会のほか、患者と医療従事者を交えて夜遅くまで酒を酌み交わす交流会もあった。その場でたまたま木村氏の隣に座ったのが、当時としては先駆的にインターネットを通じて情報発信していた1型糖尿病患者の能勢謙介氏だった(能勢氏が主催する団体のホームページはこちら)。  能勢氏をはじめとする、学習意欲旺盛で世間への影響力を持った同世代の患者たちと語り合う中で、インターネットを通じて彼らが収集している1型糖尿病情報の専門性や先進性、全国の患者への影響力の大きさを痛感した木村氏は、当時をこう振り返る。「知識は専門職の中に閉じ込めるものではないし、もはやそうはできないし、そうしないことが双方にとっての利益になる。そう悟ったことにより、医師と患者が同じ目線に立って情報を全てオープンにする、現在の診療スタイルの基礎ができ上がったように思う」。  2009年まで病院勤務をしながら、小児糖尿病サマーキャンプや患者会活動などで全国の1型糖尿病患者と院内院外で交流し続けてきた木村氏。ただ、勤務医の立場では、医師と患者の間の壁を取り払うことに限界があった。  しかし、転機は2010年に訪れた。クリニックを開院後、業務が軌道に乗り出したらまずはブログを立ち上げ、1型糖尿病に関する情報発信を開始した。すると、全国の患者や医療従事者がこれに反応。反響は大きかったが、ブログではコメントが公開されてしまうため、問い合わせや連絡の大半は電子メールや非公開コメントによる個別対応が大半で、オープンな環境とは言えなかった。facebook以前に流行したSNS「mixi」にも参加していたが、ハンドルネームでやり取りする匿名性が障壁となり、交流の輪の広がりはすぐに行き詰まった。それが2012年にfacebookを「個人の日記」から「1型糖尿病の情報発信と意見交換の場」にし始めたことにより、一気に医師と患者のオープンなコミュニケーションが活性化した。 患者の「審判」が医師の実力を鍛える  オープンなネットコミュニケーションがあれば、小さなクリニックでも取り組める先駆的な医療もある。  今でこそ珍しくなくなった外来CGM(持続血糖モニタリング)を、 木村氏はクリニック開院当初から実施してきた。しかし、CGMの結果と木村氏のアドバイス内容をfacebookやブログで公開する患者が徐々に増え、それに対し全国の患者や医師からコメントやアドバイスが続々と寄せられた。その結果、外来CGMを実施する上での細かなコツが蓄積され、CGMデータの解析力とその結果に基づく指導が高まり、検査とカウンセリングだけを希望してクリニックに紹介される患者も増えた。  また、携帯型インスリン注入ポンプを用いてインスリンを持続的に皮下注入するインスリンポンプ療法(CSII)は、導入の際に数日から数週間の入院を要する施設が多いが、木村氏は開院時から積極的に外来で導入してきた。「一部の患者は、導入の様子をブログやfacebookで実況中継し、その後の血糖変動や体調の変化を刻々と配信し、CSII導入前後のCGMデータを公表している。その結果、期せずして当院でのCSIIへの取り組みが全国に公開されることになった。外来導入に関しては批判も受けてきたが、今までに一度も問題が起きたことはない。国内には既に外来CSII導入が主流という施設もあるが、東海地区では外来CSII導入はまだ少数派であり、外来でCSIIが導入できることを情報発信してくれたおかげで、入院せずに導入できるならお願いしたい、という紹介患者も増えている」(木村氏)。 “安心感”があれば患者は冷静に対処できる  患者の立場でfacebookを利用する最大のメリットは、「常に主治医とつながっている」ことによる安心感だ。患者がネットで主治医へ連絡することを認めると、いちいち何でも問い合わせられて仕事がパンクしてしまうと思われがち。しかし、木村氏はこうした意見を否定する。確かに、木村氏は24時間facebookでの連絡を受け取るためのスマートフォンを手放さないし、午前の診察終了後、約1時間は「facebook回診」を行う。それにより、電話、メールでの連絡や予定外の外来受診はむしろ減っているという。  例えば、1型糖尿病の子どもを持つ母親は、以前は子どもの病気の悩みを一人で抱えていて、時に冷静さに失って頻繁に木村氏へ電話連絡をしてくることがあった。それがfacebookでのコミュニケーションを始めたところ、たまに木村氏にコメントを求めてくる他には、問い合わせの連絡がピタリとなくなったという。「医師とつながっているという安心感だけで、自信を持って冷静に対処できるようになる患者や家族は多い」。  また、極度に血糖コントロールが不安定で、低血糖やケトアシドーシスで毎週のように救急搬送されていたある患者は、facebookを始めてから救急車の出動要請は月1回に減った。「スマートフォンの糖尿病管理アプリのデータは、クラウドを介して常にクリニックで同期されているので、おかしな血糖値が続いたらfacebookで注意を促し、対処法を指示している。ただし入院をゼロにまで減らせていないのは残念」(木村氏)。 医療の姿はもっと多様であっていい  患者が患者を呼び、現在は新患の大半がfacebookでクリニックを知って紹介されてきているため、今もネット上の「友達」が増え続けている。木村氏は、患者とのネットコミュニケーションに苦を感じることはないが、現在のやり方をさらに広げるには限界を感じつつある。

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